ロータッチ SaaS の価格設定について

例で見る、新しい SaaS ソフトウェアの価格設定とパッケージングへのアプローチ

前書き

インターネット企業の立ち上げをサポートする Stripe Atlas は、SaaS (Software-as-a-Service) 製品の価格設定とパッケージングの改善方法について、SaaS 起業家から頻繁に質問を受けます。

ロータッチとハイタッチの SaaS ビジネスについての手引きを公開した後、当社は SaaS 起業家向けの非公開フォーラムで価格設定とパッケージングに特化した Q&A セッションを開催しました。

その中で起業家の一部が、次世代の SaaS 企業を支援するために価格設定戦略について喜んで公開を許可してくれました。

このアドバイスは、私の様々な SaaS 企業の経営、コンサルティング経験から出たものです。有用性は場合によって異なります。これは最も簡単に変更できる指針ですので、しばしば大胆に価格設定を試してみることをお勧めします。(ほとんどの SaaS 企業は、それほど考慮せずに価格を設定し、何年もそのままにする傾向があります。私は、四半期ごとに再検討することをお勧めします。)

偶然にも、紹介するほとんどの企業は、SaaS をロータッチモデルで販売しています。ハイタッチ SaaS の価格設定も似ていますが、詳しくはまた別のガイドでお話しましょう。

私たちは、製品の主要な市場に基づいて事例をまとめました。

物理的形状がない商品の価格設定とパッケージング

価格設定を理解するのに説明はいらないでしょう。

パッケージングは、石鹸のような消費者向け包装商品のマーケティング専門用語です。SaaS では一般的に基礎となる製品を 1 つもち、異なる価格帯を使って、微妙に異なる方法で異なる顧客が利用できるようにしている企業を指します。

ロータッチ SaaS では、パッケージの多くは価格表の各列に提示されます。各列はプランとして、事業が関心をもついくつかの軸に対応しており、アクセスできる機能や最大使用量ごとに異なる価格で提供されます。この軸は例えば使用ユーザー数 (業界では残念なことに、広くシートと呼ばれています) やサーバー使用量や、課題解決に貢献する機能のレベルなどです。

消費者への販売

Cirtru ケーススタディ

Cirtru は新しいルームメート探しをサポートします。顧客はアパートではなくルームメートを探している人です。

既存の価格設定はこちら:

当社のコメント:

顧客に簡単な決断をしてもらう

ここでは、ユーザーにコンシェルジュかプレミアムリスティングかの大きな決定をするように求めています。そして、この選択で人によって達成できる目標が異なります。

この値段設定を見て分かる一番の洞察は、顧客層がざっくりと分かれていることです。ツールだけを購入したい人もいれば、より多くのお金を持ち結果を丸ごと購入したい人もいるということです。顧客が期待している結果は、「きちんと滞ることなく支払う、私を寝ている間に殺したりすることがないテナントを探してください。」というものです。

それでは、その選択肢をもっとはっきりさせましょう:

「私にルームメイトを見つけてください (結果)」「自分で見つけます (ツール)」

最初のオプションをデフォルト設定し、2 番目のオプションの詳細を (グレー表示するなどして) 強調表示しないか、ダウンセルオプションが必要な時まで非表示にすると良いでしょう。

こうすることで決定の負荷が減り、このようになります:

「サービスにルームメート探しを任せたいですか?」もちろん。

では次に、「どれくらいの期間探しますか?」

ここでは私の答えはおそらく「分かりません。見つかるまででしょうが、できるだけ早くです。」になるでしょう。では、この際の洞察は何でしょうか。この時点で、あなたの請求のベースとなっている考え方と、顧客のこのサービスに対する考え方が違うことに気づきます。あなたはかかった費用を請求したいと思い、私はコンシェルジュがかかった期間に対応した支払いはしたくない、その効率に対してお金を払いたいと思います。 顧客にとって理想的なのはおそらく、成功報酬を支払うことでしょう。

それが運用的に合理的であるかどうかまでは、ここでは分かりかねます。

セールスは増やす、トークは減らす

箇条書きをもっと活かしましょう。次のような文面に変更してみます:

  • Cirtu や他のポータル上のあなたのリスティングを管理します [Craigslist など以外も、教えてください。]
  • コミュニケーションは仕分けされ、1 か所ですべてが見られます。
  • 話したい候補者だけに話してルームメイトを選ぶことができます。
  • ~~400 ドル~~ 250 ドル (期間限定オファー)

Cirtru 保証: ルームメート探しは私たちにおまかせください。15 日間でルームメートを見つけることができない場合は購入価格の 50%、30 日以内に見つけることができない場合は 75% を払い戻します。

Cointracker のケーススタディー

消費者は価格を気にするものですが、その一方で金銭的余裕のある個人にソフトウェアが販売されることがあります。Cointracker はその良い例で、仮想通貨ホドラーの税金コンプライアンス対策をサポートしています。

元の価格設定:

当社のコメント:

B2C の価格設定の美学を知る

X.99 ドルの価格設定は安っぽさがでるため、一般に B2B またはプロシューマー (プロフェッショナルなコンシューマー) サービスでは使用されません。この観点から、0.99 を切り取ることをお勧めします。(これまでに行った一連の A/B テストでは、製品を 49 ドルか、49.99 ドルか、50 ドルにするかで強い意見が多く寄せられたことはありませんでした。複数のクライアントが異常に執拗だった経験以外ではそんなに重要視されているのを見たことがないので、今の所は美的要素を優先しています。 あなたのデータから違う結果が出ていれば、データを信頼してください。)

ライト / スタンダード / プレミアムは SaaS プランでは印象が弱い名前です。なぜなら、ユーザーにどのプランが適切かを即座に判断するのに役立たないからです。私なら、Hobbyist / Active Trader / Financial Professional (愛好家 / 活発なトレーダー / 金融のプロ) にします。昨年以降、仮想通貨愛好家は、税金データ収集費用の支払いには苦労していないはずです。

無制限のものを 999 ドルで提供するのはあまりお勧めしません。ヘッジファンドから「素晴らしい、ファンドの税務申告にこれを採用しよう」などと言われたら、999 ドルはそのユーザーにとって相応しくない価格です。ほぼ確実に必要なカスタムサービスを 999 ドルに固定しないでください。

一般的にもっと価格を上げる

もっと請求しましょう。現在プレミアムと名づけられた商品の価値提案は本当はこういっているのです。「あなたは間違った答えを出す非専門の会計士と話をして 5000 ドルを費やし何万ドルもの税金を余分に払い、そしてその会計士の作成書類も怪しげなため結局監査を受けるということにもなりかねません。それか、当社のサービスで適切なアドバイスを得て、確実に高品質の成果を得ることができます。」

価格設定を 99 ドル / 499 ドル / 2,499 ドルに上げてもいいと思われます。これは意図的に、対処が非常に面倒な病的な顧客をを低価格帯に囲うためです。この市場にはこのような顧客がはびこり、色々対応が必要であるというのが私の印象です。

2017 年に仮想通貨取引で 1,000 件以上の取引をしていた人が数万ドルの利益も出していない場合、明らかににその人の意思決定能力に問題があると思われます。おそらくその顧客の獲得を追求しても意味がないでしょう。

重要な顧客サービスは料金を上げる

「高密度」な顧客サービスとは何でしょうか? 下位プランでは顧客サービスが提供されないということでしょうか?おそらくもっと良い言い方、例えば「優先」顧客サービスと表現するのが良いかもしれません。

ちなみに、これを SaaS 企業が実現するのはとても簡単です。必要なのは特別なラベルのつくメールアドレスです。チケット発行ツールや Gmail の受信トレイにラベルを追加し、日々のメール対応時にそのラベルから読むのです。それが「優先」していることになります。

これは、価格にあまりこだわらない顧客を、「価格にこだわらない」顧客として自主選択させる簡単な方法の 1 つです。多くの SaaS 起業家はこのような最適化に心情的に戸惑いがあるようですが、説明したように製品が正しく動作するという確信があるのであれば当惑する必要はありません。あなたに 「最高のサービスのためには特別料金を払うつもりです」と言っている裕福な人は、あなたのサービスだけを見てそう言っているわけではないからです。彼らは過去、他の企業に依頼して商品サービスが良くなかったため、安く利用できるサービスを利用したくないのです。プレミアムサービスを提供できるということを彼らに伝えれば、あなたのサービスを利用するでしょう。これで良い相互関係ができると同時に、価格に敏感な顧客に提供できるサービスの幅も広がります。

(昨年の仮想通貨のニュースを追っていれば、多くの投資家があなたの顧客サービスが「/dev/null にメールをお送りください」でいいというレベルなのではないかという恐れを抱いている理由を理解できるでしょう。あなたがメールに返信することを明確にすれば、この分野では大きな差別化になります。)

差別化されていない中小企業に売る

中小企業は「ボーイング社でもなく個人でもないから中小企業」などではなく、政府機関ではもっと正式な定義がなされています。しかし、SaaS 業界では汎用的なアプリケーションの販売は「中小企業へ販売する」とよく言われます。

SaaS の経験のない起業家は、SaaS がたいてい差別化されていない中小企業に売られていると思っていますが、実際はそうではありません。非常に汎用的な (あらゆる業種、顧客種類、企業規模を対象に販売されている) ソフトウェア製品が多種ある一方、多くの SaaS は実際には非常に対象を絞って販売されています。

これにより、中小企業向け価格設定に関するアドバイスを抽象的に伝えるのが少し難しくなります。多くの場合、ターゲットとする顧客の具体的な理解を深め、幅広い顧客向けの汎用的なものではなく、その顧客に喜んでもらえるオリジナルの価格設定とパッケージングを使用しています。

FormAPI ケーススタディ

FormAPI は、プログラマーの PDF 生成を簡単にします。

元の価格設定:

当社のコメント:

技術ユーザ向けの SaaS 価格設定

サインアップページのクレジットカードフォームは削除した方が良いですか?サインアップしているほとんどの人が支払いの継続を希望することが分かっています。それなら、クレジットカードを必要としない無料試用版を提供した方が、コンバージョンの増加に繋がりますか?

素晴らしい質問です。基本、オンボーディング、アプリ内メッセージ、ライフサイクルメール、カスタマーサクセスチームによる直接的なリーチアウトが高度なものになるまでは、クレジットカードフォームを削除することは、スタートアップの初期段階でコンバージョン減少に繋がります。 そのため、この無料試用ページからクレジットカードフォームを削除することはお勧めしません。

SaaS はどれくらいの数のプランを用意したらいいでしょうか?

サインアップ時にユーザーに公開する選択肢は少なくしてください。事前に使用量を予測するのは多くのユーザーにとって難しいことです。使用量でプランを分けるのではなく、ユーザーが該当するものを把握しやすくする名前で分けたほうが良いでしょう。

8 つのプランがあるようですが、3 つに絞り、さらに「企業向け価格設定についてはお電話ください」と記載することをお勧めします。これら全てのプランにユーザーがいるなら、3 つまでを提示します。残りのプランは予備として価格設定ページでは非表示にして、リンクをクリックするかプラン上のウィンドウを実行する (特定の時点でサブセットのみを表示するなど) までその存在を隠すことができます。

例:

クイックハック (内部アプリやパイロットなど) 50 PDF / 月 49 ドル / 月
プロダクション (eコマースアプリでの請求書作成など) 1,000 PDF / 月 99 ドル / 月
デプロイ (基幹業務アプリケーションなど) 5,000 PDF / 月 249 ドル / 月
エンタープライズ 使用ケースについてご相談ください。エンジニアと直接お話頂くためにお電話ください。    

価格設定ページでセールスメッセージを継続する

「スタータープランからオンサイトおよびエンタープライズソリューションまで、最適なプランを選択してください。」

このメッセージではユーザーに何の価値も約束していません。この分類が意味を持つのは販売側にとってだけです。代わりに、FormAPI で何ができるのか、選んだプランがなぜ正しいのかを繰り返し述べるべきです:

PDF 制作に関する開発作業期間を短縮しましょう。どのプロジェクトも予算内に収まります。

大企業向けのハイエンド市場に移行する

あなたはハイタッチでこれを売る意欲を示しています。開発者向けに開始して、大規模な企業で採用されるようになった SaaS アプリケーションでは自然な進化です。大規模顧客向けの販売の最初の 10 件の目標は、適性な価格で売ろうとすることではありません。それより、ユーザーがこのソフトウェアから何を求めているのか、そしてユーザーにとって何に価値があるのかを完全に理解するのに努めましょう。それに基づいて課金するのです。

特定の大企業ユーザーについて詳細が分からないので、月間 25,000 ドルのフル装備費用とメンテナンス費用で、開発期間を 2〜4 週間短縮できるという前提でいくと、おそらく 2 つのオプションを提示できるでしょう。

  • SaaS サービスに対して年間 1 万ドル。当社でホストするか、お客様がオンプレミスで使用できます。
  • 25,000 ドルのワンタイムライセンス + 5,000 ドルのソースコードの年間保守契約。お客様がホストします。

サポート SLA に関して何が期待されているか綿密に調査しましょう。月額 500 ドルのアカウントで提供するサービスより優れたサービス項目はインボイスに追加し、その費用は項目毎に 1 千ドルとします。

FormAPI がかなり大規模な企業を助ける鍵であることが分かった場合は、確実に価格を上げるべきです。保険会社が自社、サプライヤー、規制当局との間の資料連携を中心に事業全体を構築し、FormAPI を使用していれば、それは少なくとも数十万ドルの取引になります。

Humble Dot ケーススタディ

Humble Dot は、チーム全体が他のチームメンバーが何をしているのかを常に把握するのに役立つ幅広い B2B アプリケーションです。既存の価格設定:

当社のコメント:

私のキャッチフレーズをまた使うときです。価格を上げましょう!

月額 50 ドルは、この製品の適切な最高価格ではありません。それなりに大きい企業がチームを管理するために使うのですから、それで削減できる作業の価値の上限が 50 ドルという事はありえません。Humble Dot の優良顧客なら、それを購入するかどうか話し合うためだけにコーヒーにこれより高い額を払うでしょう。価値を十分に反映できていません。

価格設定ページでセールスメッセージを継続する

Humble Dot の価格ページは次のメッセージから始まります。

分かりやすい定額価格

価格ページのタイトルには営業のような役割を持たせることを強くお勧めします。あなたの価格ページにたどり着く人はどんな考えを持って来たのでしょう?Humble Dot の購入理由として考えられるものをパッと思い浮かべてみてください。単に「分かりやすい定額価格」だから来たわけではないはずです。例えば、今ここで私があなたに「分かりやすい定額価格」のチューバを売ろうとしたところで、あなたがチューバを買いたいと強く思っていなければ売れないでしょう。

ですから例えば次のような見出しをお勧めします。

「知らなかった」損失よりも、ずっと安く済みます

副見出しも、価格に不満がある人に対する反論のような内容になってしまっています。見る人は価格に不満があるのでしょうか?価格が高いからではなく、価格について知りたいから、価格ページに来ていると考えてください。さらにこの反論の内容も良くありません。発想が非常にニッチだからです。Humble Dot を使って企業が成長し、社員が 100 人にまで増えたとします。たしかに Humble Dot を 2 人だけで使っていたころと比べて値段は 50 倍になるかもしれませんが、それに伴い Humble Dot は同社に 2,500 倍の価値を提供するようになります。情報交換にかかる諸経費は、人数に対して O(n^2) で増えていくからです。

無制限なものは売らない

Humble Dot を使う最大規模の顧客を想定してください。「当社のサービスは、どれだけ使っても 1 ヶ月あたり 50 ドルです」と価格を固定してしまっていたら、顧客との話し合いでどうなるでしょう?あなたのソフトウェアへの適切な価格を提示できなくなってしまいます。

比較的小さな企業でも、四半期の目標を達成できなければその影響は数十万ドルから数百万ドルにも達します。企業が販売において考えるべきはこうした数字です。50 ドルではありません。「通常の価格の 10 倍」に設定しても良いですし、実際の B2B の販売の現場を知るのも良いでしょう。B2B では、一番安い価格帯のサービス (例えば社員のかわりにゴミを捨ててくれるサービス) であっても月に 800 ドルを下回ることはありません。オフィスを持つような企業にとって、800 ドル以下は値段交渉する価値すらないからです。

社員が 10 人までの企業に 50 ドル定額プランを設定したとしましょう。彼らの年収が最低で 3 万ドルくらいだとします。(アメリカやそれに近い賃金形態の国で働く正社員の事務職を想定) その場合、10 人を超える規模の企業には社員一人あたり 5 ~ 10 ドルで価格設定しても十分に安いはずです。 あなたにとって最良の顧客に対して、商品のアップデートを行うだけでもこれ以上の料金を請求して良いはずです。今一度、こうしたアップデートがいかに貴重かを考えてください。

FirmA ケーススタディ

希望により具体名は伏せますが、FirmA は企業の財務パフォーマンスの自動分析を行う企業です。同社の販売経路はエンドユーザーへの直販と、会計士を通じた販売です。

当社のコメント:

同じ価格ページ上に、異なる商品をできるだけ載せない

エンドユーザー向け商品のピッチと、会計士向け商品のピッチは別の価格ページで行ったほうが良いでしょう。さらにページを間違えた人のために互いのページのリンクを載せるようにします。

複数の料金プランが設定されていることがほとんどかと思いますが、こうすることにより必要な情報に集中できるほか、視覚上のスペースも確保できるようになります。月に 1000 万ドルの収益をあげる企業がこの商品を使えば、月に 1 万ドルの企業の 1000 倍以上の価値を生み出します。ならば同じ金額を設定する必要があるでしょうか。

顧客の成功に応じて価格を直接決める

収益ごとにグループ分けし、料金プランを差別化しましょう。例えば年に 50 万ドル以下、500 万ドル以下、5000 万ドル以下、そして「お会いしたばかりで恐縮ですが御社の CFO にはこれくらいの予算があるでしょう、お電話ください」といったグループ分けです。

年間発注額が 500 ドル (今の価格設定)、5000 ドル、2 万ドル以上といった大まかなターゲティングをしているかもしれません。たしかに販売やサービスをより洗練しなければこれ以上の価格帯のグループには販売できないかもしれませんが、それでもより高い価格帯のサービスを記載することで、低い価格帯の商品への信頼性は高まります。

チャネル戦略を活用する

会計士を通じて販売する「チャネル戦略」は良いアイデアです。(SaaS 企業が顧客プールを持つ相手に販売し、その相手が顧客プールに対して販売をかわりに行うことを指します。この相手は、エンドユーザーの支払額から一定額をマージンとして受け取るのが一般的です)

ここでは明確に記載されていませんが、会計士は低マージンのサービス業務の傍ら、高マージンのソフトウェアの販売でも利益を出すことができます。

コンサルティング企業で働いた経験がない方のために説明しておくと、会計事務所のマージンはおよそ 30% です。これは会計事務所は実際に業務を行う従業員のための給料や費用を支払う必要があるためです。会計事務所がインボイスの勘定科目にあなたのソフトウェアを加える場合、その勘定科目のマージンは最大 80% となります。これは高額な商品販売として非常に魅力的です。さらに中小企業をメインとしている会計士の場合、料金が発生する業務のほぼ全てが納税時期に集中しています。そんな会計士にとって、残りの第 2 四半期から第 4 四半期の間も請求が発生する商品は魅力的ですし、 顧客に継続的に連絡をとる口実にもなります。サービス企業は通常、顧客と連絡を取れる頻度が増えるほど恩恵を受けます。これは顧客満足度が向上し、追加業務を受けやすくなり、他の顧客を紹介してもらえる機会も増えるためです。

今回の例では、顧客とチャネルとなるパートナーの両方、またはいずれかの事業内容を「完全に」把握することが有利に働きます。相手を把握していれば、商品やサービスに比較的小さな変更を加えるだけで相手にとって非常に大きな付加価値を持たせることができるためです。こうした変更は、素早くコードを書けるソフトウェア企業からすればほとんど取るに足らない作業で済むことが少なくありません。例えば、あなたのソフトウェアでブランド提携やホワイトラベルの PDF のレポートを作成できるようにすれば、会計事務所にとっては非常に魅力的でしょう。顧客からすれば特注という印象を受け、信頼できるアドバイスももらえるほか、高品質なデザインを一度きり作成するために業務時間を費やさずに済みます。この機能はソフトウェアのチームからすれば比較的簡単に実施できる一方で、チャネルパートナーにもエンドユーザーにも「これはすごい」と思わせることが出来ます。

Vempathy のケーススタディ

Vempathy は顧客によるユーザーへのインタビューやユーザビリティ試験を AI で分析し、ユーザーの感情を読み取るサービスを提供しています。

既存の価格設定:

当社のコメント:

細かな指摘ですが、この Enterprise/Agency の「プランを選択 (Choose Plan)」する人はいないのではないでしょうか。「お電話ください」や「ご連絡ください」等の、行動をうながす表現を用い、連絡フォームへと誘導するほうが良いでしょう。また、企業向けに 14 日の無料トライアルは提供すべきではありません。販売プロセスにデモを取り入れるのであれば問題ありません。

「無料 (Free) プラン」のかわりに表示欄をつくり、そこに「リスクなし 30 日間の返金保証 (No risk, 30 day money back guarantee)」と同程度の視覚的なインパクトの文字を記載できるようにするのはどうしょう?

そこに「分析を行わない無料プランも提供しています」と書いて、「無料プラン」へのハイパーリンクを記載します。

価格設定ページを見れば、顧客に何を請求するか明らかでしょうか?

私は大半のユーザーとは違い、生計を立てるために価格設定ページを見ています。そんな私から見てもこのプラン名はまあまあ良く、内容も伝わるものになっています。この名前であれば、自分の会社がどのプランを選べばよいか分かります。(多少は改善の余地もあるかも知れませんが、「ブロンズ / シルバー / ゴールド」のような、中身を実際に読まないと何なのか分からないようなプラン名よりずっとましです)。

私は、価格設定ページでトランザクションについての詳細を減らし売り上げの獲得についてもっと詳しく説明することをお勧めします。

価格設定ページを価格設定ページと呼ばない

「プラン & 価格」は SEO を対象としたタイトルタグとしては良いですが、一般的には商品名も入れたほうが良いでしょう。「プラン & 価格」は見出しとしては最悪です。見た目がお粗末であるだけでなく、コンバージョンにつながる効果もまるでありません。あなたが販売対象としている UX デザイナーは、リンクをクリックするか、厳密にこのページを見たいという具体的な意図で Google 検索してこのページに行き着きます。

私が自分のソフトウェア会社で使っていたようなスタイルのほうが、見出しとしておそらくもっといいでしょう:「[手短に自社の価値を述べる] だけでも元がとれる

たとえば、「1 つの UX 実験の分析時間の節減だけでも元がとれます」。見た人がピンとくるもっと良い言葉があるかもしれません。

トライアルの障壁は十分に低いですか?

逆に障壁を高くしましょう。これは、最も洗練された UX デザイナーや研究者が使用している非常に貴重な AI 支援感情分析ソフトウェアであることをどのように伝えますか?リスク軽減機能をマイナーな詳細として扱い、強調しすぎないように変更します。

価格体系は制限や価格ポイントに対して理にかなったものでしょうか?

無制限に提供するサービスが 2 つあるなら、それは 1 つで十分です。おそらく大部分の顧客に影響を与えることなく、「無制限の共同作業者」を消して良いでしょう。シートごとに支払う必要があると心配している人々のためには、ページの最後に明確にすることができます。

AI 分析記録を主軸として課金することは理にかなっています。このことは複数のチーム/プロジェクトを使用できることより圧倒的に価値が高いため、この表ではチーム/プロジェクトの数は隠して、その制限事項をソフトウェアでのみ公開することを検討します。誰かが確認するか見てみましょう。(購入前に公開されていなかったと不満を表明した場合は、無償でアップグレードしてください。誰も気にしないでしょう。つまり、このページに記載する必要はありません。)

完全な機能リストを含めるべきですか?

それがソフトウェア購入につながるでしょうか。おそらくそうではありません。代わりに、セールスメッセージを継続させます。具体的にどれだけ人間の作業を減らし、ユーザー記録から見事な洞察を引き出すことができるのでしょう。そのことをぺージに記載し、必要であれば機能の詳細で補足してください。

特定分野のバーティカルセールス

一般的に、横に広いの中小企業よりも垂直方向に中小企業に (特定の業種や典型的な顧客) 売るほうが簡単です。厳密に特定のニーズに焦点を当てられ、彼らのビジネスに影響を与える要因を理解でき、ユーザーの業界用語で話すことがより簡単であるためです。

KitchenWhiz ケーススタディ

KitchenWhizは、家主や大工のような専門家のためのキッチンデザインプランを作成しています。

現在の価格設定:

当社のコメント:

SaaS 起業家は早い段階で低価格の利点を過大評価しすぎ

多くの SaaS 起業家は、自社の製品は以前からあるブランドの製品に比べ成熟度が低いとして、価格を低く設定しています。これはほとんどの場合間違いです。

顧客は、製品は良くないが魅力的な価格であるため、KitchenWhiz を購入するわけではありません。彼らはあなたの価値提案が「美しいデザインで専門的に製作されたキッチンデザインを簡単にお届けします」という理由だからそれを購入しているのです。顧客は同業者の可能性が高く、あなたの商品は彼らのビジネスで収益を生むツールとなっているのです。1 回のリフォーム作業で通常かかる費用を尋ねることを勧めます。あなたが熟考した価格帯のどれでも、彼らが KitchenWhiz に支払う額より廃棄物処理費用として支払っている額のほうが大きいのではないかと思います。

あなたはすでに顧客の収益を生み出すツールであり、この製品をすぐに今よりもさらに優れたものにします。製品が成熟するポイントを見越してその基準で価格設定すべきです。これにより、顧客があなたの製品を発見して契約する際に、製品が新しい価格に「合わせて成長」でき、顧客に値上げをした印象を与える必要がなくなります。

KitchenWhiz のパッケージ数は 3 つが妥当でしょう。内容はあなたの判断に委ねます。これらの価格ポイントは、様々な企業や業界で有効な、ロータッチモデルで販売される B2B SaaS のデフォルト価格ポイントで良いでしょう。

月額: 49 ドル / 99 ドル / 249 ドル

年額: 同上、但し 1 ヶ月「無料」。

月額 249 ドルのバージョンを文字通り 1 つも販売できず販売をやめたほうが良いと判断するのであれば中止できますが、市場は予想外の方向へ動くかも知れません。

この価格設定提案は、既存の価格設定から考え出された「最大」価格の 10 倍から 50 倍であることに注意してください。これは理論的に、消費者か企業のどちらかを対象にした製品がある場合には、B2B 市場の方が遥かに高値で販売できることを示しています。AppAmaGooBookSoft は、ソフトウェアは無料で (あるいは無料に近い価格で) 提供し、利益はそれに付随する非常に収益性の高い広告/ハードウェア/eコマース/その他エコシステムから支給されるべきであると世界中の顧客に熱心に伝えています。でも、この市場の期待に対抗するのは非常に困難です。

SaaS の持続的な価格設定をしたい場合は、主にビジネスユーザーを対象に考えてください。

気前のよい返金ポリシーはプラスになる

ロータッチモデルで販売されているソフトウェアに不満を持っている顧客には、払い戻しを提供するよう勧めます。払い戻しは短期的なキャッシュフローの損失を引き起こしますが、不満を持った顧客は、キャッシュフローの損失よりもビジネスにとってはるかに大きな脅威です。あなたが認識していない不満は、制御しにくいチャーン問題を起こすからです。

サービスについて大きな不満を持っている顧客からはぜひとも、理由と内容を聞きとってください。 これが役に立つなら、返金は相談料と考えましょう。

さらに、SaaS 企業のサービスに不満を持った顧客は、自分の銀行に払い戻しがされないということを訴える可能性があります。銀行にとってあなたは顧客ではないので、銀行はしばしば顧客サイドに立ちます。 「ソフトウェアで X / Y / Z ができると言っていたができないので、払い戻しを求めたが拒否された」という訴えに勝つのは難しいでしょう。この争いに対応するよりは、顧客と話をしたりソフトウェアを作ることに時間を費やしたほうが賢明です。ソフトウェアの説明が完全に正確であっても、この争いには勝てない可能性があります。

デモは必要か?

コンバージョン率と、無料トライアルを提供するかどうかを決めるためにかかる調査時間のバランスを、取ろうとしているのでしょう。現時点では調査に大きな時間を割きましょう。ソフトウェアを使い始めたすべてのユーザーに電話で質問をしてください。ユーザーのビジネスの内容を知るために時間の 80% を、ソフトウェアの重要な部分を説明するために 20% を費やします。

この調査の目的は、顧客開発や販売のためで、顧客へのトレーニングが目的ではありません。質問をされればそれを書き留めて、スクリーンキャストやそれに類似したものを用意し、誰にでも見せることができるようにする必要があります。

電話調査とコンシェルジュによるオンボーディングを使って、彼らが自らのサービスに対して料金を請求するのと同じように、あなたもサービスに対して請求することを全てのユーザーに伝えます。そこで、なぜソフトウェアがニーズに合わなかったのかについて 15 分間インタビューに答えてくれれば、期間限定で一ヶ月分の費用を遡って無料にする、というオファーを伝えれば良いでしょう。

このオファーは実質的にはトライアルですが、使っても使わなくても得られる洞察が変わらないようなよくあるものではなく、ユーザーを実際にソフトウェアを使用するように仕向けることができます。常に初期製品を試しているソフトウェアユーザーは過小評価しがちですが、ソフトウェア製品の実際の性能を試すのは、価値ある仕事です。多忙な専門家に、実際のプロジェクトを施行している顧客との、ビジネスのやり方を変えるように依頼しているのです。あなたのソフトウェアにオンボーディングする際には、そのプロジェクトをきちんと管理しないと、トライアルは有効に活用されず、制限期間内で効果的な試用はできません。

これは、無料ソフトウェアトライアルの非常によくある失敗事例です。クレジットカードに請求はされませんが、ソフトウェア開発者が考えるよりはるかに重大なコストがかかってしまうのです。無料トライアルはよく使われますが、それがビジネスの利益なのか顧客の利益なのかを検討するべきです。

Publica のケーススタディ

Publica は、デジタル出版物のオンライン販売をサポートします。現在の価格設定:

当社のコメント:

適切なユーザに販売するための名前を価格プランに付ける

価格設定ページでプランに名前を付ける唯一の目的は、特定のプランが適切な顧客に選択されるための適切なヒントを提供することです。

オンラインで作品を有料で公開している作家に対して、「初心者 (Initial)」という言葉は正しい決定を下すのに役立つとは思えません。その価格プランを愛好家向け (Hobbyist) と呼ぶのはどうでしょう。第一作目を売る人がそのプランを選びやすくなり、また職業が作家であることを公にしているプロの著者が最も安いプランを選ぶこともなくなります。

「作家 (Author)」は良い名前ですが、それほど素晴らしくもありません。プロ、プロ作家、ミッドリスト作家はどうなるのでしょうか? (ミッドリストは出版業界の専門用語です)。

プランに「お勧め」という名前を付けると選ぶ人が増えることがよくありますが、それは実はあまりお勧めしません。「インプリント」(顧客が以前に出版したことがある著者か、それと同等だと感じる場合) や、小規模なビジネスを示唆する名前が良いでしょう。

質問:

今は 14 日間無料の試用期間を設けていますが、開始にあたってクレジットカード情報を求めています。それは止めたほうがよいでしょうか。止めれば試用申し込みは増えますが、コンバージョンは減るのではないかと恐れています。

それは正しいです。B2B SaaS 企業の場合はたいてい、クレジットカード情報要件を取り除くと、無料トライアルのサインアップ数は増加しますが、アクティベーション率 (ソフトウェアを実質的に使用するユーザー数) と有料使用へのコンバージョン率は低下します。会社のライフサイクルの早い段階ではお勧めできません (顧客をアクティベーションさせるためにかなり洗練された手段を駆使し、クレジットカードの詳細を試用期間の終わりに提供してもらい、契約を獲得しなければなりません)。

私たちのプランには多くの機能がありますが、すべてを価格設定の所に記載すべきか、重要なものだけを書くべきですか?

価格設定ページには最も重要な詳細のみを含めてください。プラン間の相違が顧客やあなたにとって大した相違でなければ、その違いを設けるべきではありません。機能の正しい差別化がなければ、あなたのエンジニアリング作業負担が増し、顧客にも不満を抱かせることになります。差別化された機能があるからこそ、ユーザは納得して追加料金を払うのです。

プランごとに別の機能を提供する必要がありますか?または最大使用量が異なっていればよいでしょうか?今は、アカウントごとにユーザー数と出版物数に基づいて毎月または年間の料金を請求しています。

基本的にソフトウェアで各種金額を課金する目的は、各ユーザーがソフトウェアから異なる価値を得られるようにし、成功していないユーザーと成功したユーザーが生み出す価値の差異を反映することです。

価格設定ページは、価値創造曲線の概算から得た最適費用から決定されるべきなのです。

ユーザーと出版物の数が、創出された価値の概算です。さらに高度な尺度を使用して計算することもできるかも知れません。利用可能な別の概算はありますか?

出版プラットフォームが創出し得る最大価値にもっとも近いのはおそらく顧客が稼ぐことができる金額ではないでしょうか。したがって取引の合計数または合計額に基づいて請求することになります。ジョージ・R・R・マーティンは、たとえ出版数が同じでも、趣味のレシピブックの著者よりも多く支払うべきです。

(追記: おそらく現在の価格体系はとてつもなく控え目だと思います。)

私達にはニーズが異なる顧客がいます。それぞれに異なる価格設定モデルを使用してよいでしょうか?例えば出版社の場合、出版数とユーザー数に基づいて料金を請求します。大学はその性質上、出版数がより多いため、ユーザー数にのみ基づいて料金を請求したいと考えています。

全く問題ありません!これは、業務の複雑さと、複数の市場への運用理解が必要になるため、規模が小さい SaaS ビジネスではあまり行われていませんが、「特別教育機関料金」、「大学プラン」などを用意することは可能です。

これを正当化するために、差別化された機能のセットを用意する必要はありません。完全にマーケティング上での決定でも良いです。大学には営利目的の出版社とは非常に異なるインセンティブがあるため、同等であるかのように扱うことはどちらのグループにとっても好ましくないのです。また大学は、特定のマーケティングメッセージに反応し、将来的にはまた違った機能ニーズを持ち、あなたと仕事をする上で異なる価値提案を念頭に置いている可能性があります。ソフトウェアを彼らに特化した方法でパッケージすることで、市場におけるこれらの違いを理解し、対処するのに役立ちます。

FirmB ケーススタディ

希望により名前を伏せている FirmB は、eコマース企業がコンバージョン率を最適化するのに役立つ Shopify プラグインを販売しています。

元の価格設定:

当社のコメント:

プランの名称は変更しましょう。小型店舗、最先端 eコマース小売店、エンタープライズなどはどうでしょうか。最先端という言葉を聞いて嫌な人はいないでしょう。

相手の費用と価格を結びつける

企業は機能ではなくメリットにお金を払うので、「高度機能が使用可能」と言っても、エッセンシャルからビジネスへのアップグレードをさせるのは難しいでしょう。

次のように位置づけることもできます。何分の一かの費用で、自動化された専属 CRO 代理店を利用できます

eコマース企業がコンバージョン最適化の専門家にどれくらい支払っているかご存知でしょうか。この業界で典型的なレート表がどのようなものであるかについてある程度知識がありますが、私がソフトウェア企業の CRO を務めたとき、週に 30,000 ドルを請求しました。これは Shopify にホストされるほとんどの企業にとってはおそらく価格ポイントを上回っていますが、1 契約あたり数百ドルしか支払わないということもあり得ません。したがって、ビジネスプランの価格を上げて、CRO 代理店を雇ったり (最低一括料金:月額 5,000 ドル)、チームに CRO スペシャリストを追加する場合 (雇用の総コストを考慮すると、比較的経験の浅い従業員でも年間 10 万ドル以上) との比較を営業資料で明確に示します。

ちなみに不慣れな事業主は、従業員の実際の人件費を正しく計算できません。ホワイトカラー従業員の総人件費は、額面給与の約 140% であると仮定します。SaaS は額面給与より、正しいコストに対して価格設定をした方が良いのです。企業は、税金、給付、社会保険制度への義務拠出額、および諸経費を含めて、総額コストの予算を設定する必要があります。

従業員費用に対して価格を設定する際は、正しい額面が反映されていない名目経費 (給与額) ではなく、「実際の」総額コストを採用する方がメリットがあります。

バンドル価格を効果的に使う

Shopify で人気のある複数の別々の製品を効果的にバンドルされていることと思います。エッセンシャルプランの価格を 49 ドルに設定し、その下にウィジェットが (いつでも) 1 つだけ使える入門プランを 29 ドルで提供することを検討してみましょう (同じ見出しではなく、メイン価格設定表の下に文で書く提案方法)。これにより、価格に敏感な企業も、eコマースショップの大部分からの収入を失うことなく、この製品を試してみることができます。29 ドルと 49 ドルの違いは彼らにはそれほど重要ではありませんが、契約が何百件にもなるとあなたにとっては重要になります。

199 ドルはすぐに 249 ドルに変更しましょう (ユーザーにとっては似たような金額として認識されています)。コンシェルジュオンボーディングなどを介して提供される価値がもっとあれば、それを加算してさらに高い価格を付けます。

コンシェルジュオンボーディング

現在のビジネスプランのようなミッドティアプランへのコンバージョン率を上げる良い方法があります。ユーザーがスムーズに利用を開始できるようにすることに重点を置いた無料のコンサルティングサービスをビジネスプランのバンドルに組み込みます。これはしばしば「コンシェルジュオンボーディング」と呼ばれます。これをするのにかかる時間が心配な場合は、年間プランを選んだ企業に限ってもいいでしょう (年間プランが必要です)。

コンシェルジュオンボーディングにより、ユーザーのコンバージョン率は上がり、ユーザーが成功する可能性が高くなります (したがって、解約率も低くなります)。さらに、ビジネスの早い段階で顧客と話をすることにより、ニーズに合った適切な機能、教材、ワークフローの構築を確認する素晴らしい機会にもなります。

またこれは、価格に敏感でない顧客が価格の高いプランを利用し続ける理由にもなります。私が 1 か月に 50 万ドルの利益率の高い販売をしていても、多変量テストが何かを知らないとします。そこでコンシェルジュオンボーディングを通して、詳細な会話をします。顧客はプラグインを使用して販売額を自動的に増やすという価値を提供し、一方あなたは顧客に多変量テストの価値を提供するのです。 ウィンウィンの関係ですよね。

最先端の企業に売る

一般的に、SaaS は最先端の企業ほどそのビジネスに大きな価値を生み出すため、支払う能力があります。しかし、これはソフトウェアの完成度や何ができるかには関係ありません。

したがって、最先端企業に直接販売している SaaS 企業は、より広範な B2B 市場に販売している企業にはプレミアム価格で販売するのが相応しいです。様々な業種に販売する SaaS 企業は可能であれば、最先端企業を区分し、販売内容をパッケージ化しましょう。これにより、それらの企業が貴重なサービスに対して今までに支払ってきた、プレミアムな価格でプレミアムなサービスを提供できます。

Geomodelr のケーススタディ

Geomodelr は石油およびガス業界にソフトウェアを販売しています。現在の価格設定:

当社のコメント:

無料というのは裕福な買い手にとって心動かされる価値提案ではない

歴史的に企業はソフトウェアを無償、あるいはほぼ無償で提供し、可能な限りそれを幅広く普及させることによる、恩恵を受けようとしました。しかし B2B サービスの販売においてはこれは限定的な戦略です。価格は多くの場合、特に多額のお金が動く業界にいる情報通の顧客の間では、価値自体を表すものだからです。

石油会社が数十万ドルの設備投資や数百万ドルの鉱業権リースへの投資を行う際、「無料」であることは意味があるでしょうか。あなたの報告書のデータや分析などが十分信頼できることを説得できるでしょうか。「無料」であることは鉱業会社の意思決定者の価値観に対応しているでしょうか。彼らは会計や法律関連の料金、保険料が免除されることを期待しているでしょうか。

私ならすぐに無料版を中止します。既存の無料ユーザーにメールを送って、このサービスを中止したこと、しかし彼らには一生無料で提供すること、そして創業初期の支援に対する特別な謝礼として有料版には 20% の割引を提供することを伝えます。

今後は、戦略的な無料試用版を提供することはあっても、商用化可能なサービスは無料で提供するべきではありません。

年間価格を提示する方法

典型的な SaaS 価格表では、プランごとに大きな差があります。2 つのプランから選択するために、顧客は重大な決定をしなければなりませんが、それは最小限に抑える必要があります。

月額請求と年額請求の選択の違いは、重大決定にしてはなりません。

あなたの顧客の大部分は、ソフトウェア予算を捻出するためにキャッシュフローを考慮する必要はありません。なぜなら彼らは、エンジニアリングサービスには惜しげもなく支払う資本集約型の業界で高い報酬を得ている専門家であるからです。コアオファーを年次プランにし、月単位サービスを選択できる切り替えメニューを用意しましょう。

複数のパッケージを用意する

無料プランを廃止し、請求周期も一本化したため、提供するのは本質的に現在の 1 パッケージのみとなりました。おそらく実際には、複数のパッケージが必要でしょう。多くの価値を実現している企業に適切なインセンティブを持ってもらい、「このパッケージが非常に役立っている」と感じさせるために、複数のプランを提供します。それと同時に、あなたにとって利益の低い企業より、こうした企業に多く支払わせるようにします。

コアパッケージを年間 2,500 ドル/月額 250 ドルの価格ポイントに調整し、次に年間 1 万ドルの別の価格ポイント (月額オプションはなしにするか、月額 1,000 ドルで 3 ヶ月ごとの請求とし、管理する小切手の数を最小限にする) を試してみます。

より高価なパッケージに何を入れるかは分かりません。優先サポートを提供し、顧客が何を求めるのかを探っていきます。

大企業を対象にハイエンド市場を開拓していく

価格について問い合わせが必要な大企業プランも追加した方が良いでしょう。最初の十数回の電話では、シンプルに大企業プランで何が必要とされているか、それを提供できるかを把握するだけにします。もしこれに抵抗があるなら既存の有料顧客に電話して、他のソフトウェアに年間 50,000 ドル以上を支払っているか尋ねます。そうであれば、同じ金額をあなたのソフトウェアに払うためには何が必要かを尋ねましょう。

あなたのこともサポートします

Stripe Atlas をご利用いただくと、経験豊富な起業家、投資家、および関連分野の専門家から、この記事に抜粋された Q&A および Marc Andreessen との Q&A のような、あなたのビジネスに関するフィードバックを得る機会を提供できます。

あなたが会社を経営しているかどうかに関わらず、どのような課題解決をお手伝いできるかお聞かせください。さらに具体的に取り上げて欲しいトピックがある場合は、atlas@stripe.com にご連絡ください。

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