ドイツにおける請求書作成のベストプラクティス

業務報告要件を確実に満たす請求書を作成するためのベストプラクティスをご紹介します。

  1. はじめに
  2. 請求書が必要になる状況
  3. 請求書に必要な項目
  4. 請求書発行のタイミング (タイムライン)
  5. 請求書を保管すべき期間
  6. Stripe によるサポート

請求書とは、企業と顧客の間の取引を項目別に記録した文書です。請求書は、注文金額の平均が高い、または顧客とのカスタム契約が必要な B2B 決済でよく使用されています。他の欧州諸国と同様、ドイツのビジネスシーンでも請求書の発行は非常に一般的です。ほとんどの B2B 決済は銀行振込で行われ、それらの多くが請求書により開始されます。また、請求書は消費者による支払いでも広く普及しています。 B2C 取引の 33% で請求書 (Kauf auf Rechnung) が作成されています。

請求書は、大まかに次の 2 つの目的を果たします。

  1. 業務報告のための、取引記録文書としての役割 (税金など)
  2. 請求金額と支払い条件が記載された支払い請求書としての役割

このガイドでは、業務報告要件を確実に満たす請求書を作成するためのベストプラクティスについて説明します。[0]

請求書が必要になる状況

販売する商品・サービスがドイツで課税対象の場合、ドイツの請求書規則が適用されます。[1]

B2B 向けの請求書

ドイツ所在の事業者は、商品・サービスを他の事業者に販売する場合に請求書を発行する必要があります。特定の免税サービス (金融取引や保険取引、教育サービスなど) の販売では、請求書の発行が義務付けられていません。[2]

中小企業 (Kleinunternehmer) も請求書を発行する必要がありますが、VAT の記載や請求を行うことはできません。VAT を請求しない理由を記載しておくことをお勧めします (例えば、 「Kein Ausweis von Umsatzsteuer, da Kleinunternehmer gemäß § 19 UStG」という条項を追加します)。

B2C 向けの請求書

事業者以外の顧客への請求書発行は一般的に義務づけられていませんが、欧州連合のワンストップショップ (OSS) (ドイツ語) スキームを利用しない場合、ドイツの企業は他の EU 加盟国内の個人に商品を販売する際に請求書を発行する必要があります。欧州連合の OSS スキームを使用すると、事業者が EU 諸国の個人に対して商品・サービスを販売する場合に、EU 域内でのすべての販売に対する登録を EU 加盟国の 1 つで行うことができます。

請求書に必要な項目

情報フィールド

一般的に、コンプライアンスを徹底するには、請求書に以下の情報を含める必要があります:

  • 一意で連続する請求書番号
  • 請求書発行日 (最低でも年と月)
  • 供給日。供給が行われる前に請求書が発行される場合は、(支払い日がわかっており、請求書の日付と異なる場合に限り) 支払いの全部または一部を受領した日が供給日となります。
  • 売り手の情報:
    • 会社名または個人事業主の氏名
    • 登記上の事務所の住所
    • 法人形態 (GmbH、AG、KG、OHG、e.K. など)
    • 商業登記簿番号 (Handelsregisternummer) と登録裁判所 (Registergericht)
    • 取締役の名前 (Geschäftsführer)、監査役の名前 (Vorsitzende des Aufsichtsrats)、および該当する場合は、これらの個人が保有する株式資本
    • 売り手の納税者番号 (Steuernummer) または VAT ID 番号 (Umsatzsteuer-Identifikationsnummer)。EU 域内の B2B 販売の場合、VAT ID 番号は必須です
    • 税務代理人の名前、住所、および VAT ID 番号 (該当する場合)
  • 買い手の情報:
    • 買い手の名前、請求先住所、配達先住所
    • 顧客の VAT ID 番号 (EU 域内の B2B 販売の場合)
  • 供給される商品・サービスの数量と種類
  • 適用される VAT 率、VAT 免除、および課税対象額を引き下げる割引や払い戻しに応じて分割された課税額 (これらの割引や払い戻しが課税額に既に計上されている場合を除く)
  • VAT 率 (請求書の各項目に異なる VAT 率が適用される場合は、各項目に該当する税率を表示する必要があります)
  • 合計 VAT 支払い金額
  • 免除、VAT 税率 0%、リバースチャージの適用理由:
    • EU 域内供給に対する免除 (steuerfreie innergemeinschaftliche Lieferung)
    • 輸出に対する免除 (steuerfreier Export)
    • リバースチャージ (Steuerschuldnerschaft des Leistungsempfängers)
  • 顧客が売り手の名前で請求書を発行する場合、その請求書には「Gutschrift」(「仕入明細書の請求書」) という文言を記載する必要があります。
  • マージン課税制度が適用されたことを示すもの

簡易請求書

「簡易請求書」(Kleinbetragsrechnung) は、合計金額 (VAT 込み) が €250 以下の場合に発行できます。簡易請求書には以下を記載する必要があります。

  • 供給業者の名前と所在地
  • 発行日
  • 供給される商品・サービスの数量と種類
  • 請求書の合計金額 (課税対象額と VAT 額を含む)
  • VAT 率または免除を適用する理由

言語

請求書をドイツ語で発行する法的義務はなく、顧客はドイツ語の請求書を要求することはできませんが、顧客の言語で発行することをお勧めします。請求書を外国語で発行していると、税務当局に翻訳を求められることがあります (税務監査を行う場合など)。一般的に英語の請求書は監査人に受け入れられています。

通貨

請求書はどの通貨でも発行できます。為替レートやユーロでの相当額を記載する必要はありません。通貨換算については、銀行の実際の換算レートか、German Federal Ministry of Finance が発行する月次為替レートを使用する必要があります。

支払い期日

ドイツでは、請求書に支払い期日を記載することは必須ではありませんが、記載することをお勧めします。支払い期日が請求書に示されていない場合、請求書の支払いは発行日から 30 日以内に行われる必要があります。請求書に銀行口座の詳細、メールアドレス、電話番号を記載する必要はありませんが、これらの詳細を記載することをお勧めします。

請求書の形式

原本の真正性、内容の完全性、請求書の可読性が保証される限り、電子形式の請求書を発行することができます。電子請求書には受取人の承認が必要です。

請求書発行のタイミング (タイムライン)

請求書の発行は、他の企業へ商品やサービスを供給してから 6 カ月以内に行う必要があります。一般的に VAT は供給時に支払う必要があるため、供給後すぐに請求書を発行すると便利です。

他の EU 加盟国内の企業に商品やサービスを供給する場合は、供給が行われた月の末から 15 日間以内に請求書を発行しなければなりません。

請求書を保管すべき期間

請求書は 10 年間保管しなければなりません。請求書の保管義務は売上と仕入の両方の請求書に当てはまります。

紙の請求書は一般的にドイツ国内で保管しなければなりません。電子請求書は電子的に保管しなければなりません。税務監査の際にアクセスしてダウンロードできれば、別の EU 加盟国に保管することが可能です。EU 以外の国で保管する場合は、国税庁の承認を得る必要があります。

Stripe によるサポート

Stripe Invoicing は、時間を節約し、スピーディーに支払いを受け付けるために構築されたグローバルな請求プラットフォームです。ダッシュボードから Stripe がオンラインで提供する請求書を数分で作成して送信できます。また、Invoicing API と高度な機能を使って、支払いの回収と消し込みを自動化することもできます。

Invoicing は Stripe の決済スタックに組み込まれているため、導入初日から Smart Retriesリマインドメール自動カード更新機能を使って自動的に支払いを回収します。

導入が簡単: ダッシュボードから数分で、Stripe がオンラインで提供する請求書を作成、カスタマイズ、送信する操作を完了できます。コーディングは一切不要です。ブラウザーの URL バーに「invoice.new」と入力すると、直接、請求書エディターが表示されます。

支払い受け取りまでの時間を短縮: Stripe のオンライン請求書は、モバイル、タブレット、デスクトップ向けに最適化された機能を提供し、25 を超える言語と 135 を超える通貨に対応しています。オンライン請求書ページでは、顧客の所在地に応じて決済手段が動的に表示されるため、支払いを受け取るまでの時間を短縮できます。実際、Stripe の請求書のほとんどは 3 日以内に支払われています。

あらゆるユースケースに対応した設定が可能: カード、銀行振込、SEPA および BACS ダイレクトデビット、その他の決済手段による、1 回限りまたは継続的な支払いを回収できます。請求書にラインアイテム、割引、税率を直接追加できます。

ビジネスに応じたスケーリングが可能: Stripe の API を活用すると、請求処理ワークフローを自動化できます。自動リマインドメールと経時レポートを使用することで、未払いの請求書の支払いを回収し、失敗した支払いは Smart Retries を活用して最適なタイミングで再試行できます。

Stripe Invoicing について詳しくは、Stripe ドキュメントをご覧ください。請求書の送付と決済の受け付けを今すぐ開始するには、Stripe 営業チームまでお問い合わせください。

[0] 情報は 2022 年 7 月 1 日時点のものです。お客様のビジネス特有のアドバイスが必要な場合は、法律顧問にご相談ください。

[1] ドイツの請求処理の規則に関する包括的なリストについては、ドイツ VAT 法第 14–14c 条 (ドイツ語) (Umsatzsteuergesetz) をご覧ください。

[2] 免税サービスの一覧については、ドイツ税法の第 4 条、第 8 ~ 29 項 (ドイツ語) をご覧ください。

今すぐ始めましょう。アカウントを作成するか、お問い合わせください。

アカウントを作成し、決済の受け付けを開始しましょう。契約や銀行情報は不要です。ビジネスに合わせたカスタムパッケージの設計については、お問い合わせください。