Stripe、世界初の大規模な炭素除去購入ツールをリリース

  • Stripe Climate はどのようなインターネットビジネスでもわずか数クリックで気候変動対策を行える仕組みです。
  • Stripe Climate によって、Stripe を利用する数百万社のビジネスが将来有望な炭素除去技術への支援を始められます。
  • すでに 25 社以上のベータ版ユーザーが年間数十万ドルを炭素除去に投資することを約束しています。

サンフランシスコ - 本日、インターネットのための経済インフラを構築するグローバルテクノロジー企業である Stripe は、あらゆるオンラインビジネスが大気から CO₂ を直接除去する技術への資金面での貢献を可能になる世界初の製品をリリースしたことを発表しました。

本日から、Stripe ユーザーは大気から二酸化炭素を永久的に除去する取り組みに、売上の一部を寄付して気候変動対策を支援できます。手続きはわずか数クリックで完了し、コードを記述する必要はありません。

Stripe Climate での寄付に対して Stripe が手数料を差し引くことは一切ありません。資金の全額が炭素除去技術の開発促進に使用されます。Stripe が現在支援しているプロジェクトは、Stripe が 2020 年 5 月 に 100 万ドル相当の炭素除去量を購入した相手である 4 社の企業です。これらの企業は、科学者と学者で構成された専門家グループ の協力を得て選定されました。炭素除去プロジェクトのポートフォリオは資金額の増加に合わせて進化し、対象が拡大されます。

オーストラリアアメリカ西部で最近発生し壊滅的な被害をもたらした山火事では、気候変動への効果的な対策の必要性を痛感させられました。しかし、今年を象徴する出来事がもう 1 つありました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大です。これによって、かつてないほどのスピードで経済がオンライン化に向かったことで、インターネットを活用して資金を出し合い、有意義な気候変動対策と連携させるという新たな好機が生まれました。

Stripe で Climate 責任者を務める Nan Ransohoff は次のように述べています。「多数の Stripe ユーザーから、気候変動対策を行いたいが何をすればいいのかを調べるのが複雑で時間がかかるので実現できていないという話を伺いました。Stripe Climate によって、どのような規模のビジネスでも最先端の炭素除去技術に資金を提供して気候変動への取り組みを簡単に支援できるようになります」

支払いのオンライン化が進むにつれて、Stripe の強力な経済インフラは数百万社のビジネスを支援し、事業を速やかに拡大できるよう後押ししています。Stripe Climate のリリースに伴い、Stripe はそのインフラを気候変動対策に役立てようと態勢を整えています。8 月以降、Stripe Climate のベータ版ユーザー 25 社以上が炭素除去技術に対して数十万ドルを投資することをすでに約束しています。

気候変動対策には炭素除去が不可欠

気候モデルのほとんどは、世界全体の気温の上昇を 産業革命前と比較して 1.5°C 以内に抑え込むには全世界の CO₂ 排出量を 2050 年までに実質ゼロに削減する必要がある、という見解で一致しています。この目的を達成するためには全世界が大気中への新たな排出量を大幅に削減するとともに、すでに大気中に含まれている炭素を除去する必要があります。

しかし、長い間炭素除去技術への投資は驚くほど行われてきませんでした。PwC によると、炭素除去のスタートアップが 2013 年から 2019 年の間に受けた資金は、ベンチャーキャピタルの環境保全技術の資金の 1 % にも満たない金額でした。環境保全技術自体ですら、2019 年に受けた資金はベンチャーキャピタルファンドの合計のわずか 6% です。また、炭素除去量の購入需要もかねてからずっと少ないままです。

Ransohoff は次のように述べています。「どのようなビジネスでも 1 社だけでは炭素除去の規模を拡大するのに十分な需要を生み出せません。しかし Stripe を利用する数百万社ものビジネスが力を合わせれば、この新しい産業の成長を支援し、維持させることができます。私たちの目標は、炭素除去の大きなマーケットを作り出すことです。成功すれば、そのマーケットによって低コストで永久的な炭素除去技術の供給が促進され、気候変動による壊滅的な影響を避けるために世界が必要とするソリューションのポートフォリオが手に入る可能性が高まります」

今年に入って、Stripe は特に有望なアプローチを提供している企業の炭素除去技術に 100 万ドルの自己資金を投資しました。購入基準の詳細はオープンソースのフレームワークで公開しました。Stripe の早期支援によって実験に弾みがつき、低コスト化に役立っていることがすでに実証されています。その一例を以下でご紹介します。

Climeworks は新しい大規模な炭素除去プラントをアイスランドに展開しています。

Project Vesta は実験ロードマップを前倒しで進め、研究への投資を増やしています。

CarbonCure は CO₂ を生コンクリートに注入します。コンクリートの中で CO₂ は無機化されて永久貯蔵され、それと同時にコンクリートの圧縮強度は高まります。同社は現在のところ廃棄物の CO₂ を利用していますが、将来の炭素除去システムの主要コンポーネントとなる、CO₂ の永久貯蔵のための有望なプラットフォームテクノロジーを提示しています。

Stripe が技術を購入した 4 番目の企業となった Charm Industrial で主任研究員を務める Shaun Meehan 氏は次のように述べています。「Charm のバイオオイル隔離プロセスは 3 月に発明されたばかりですが、Stripe がすぐに、しかし厳格な調査を行ったうえで 4 月に購入してくださったことで開発に大きく拍車がかかりました。Stripe の購入のおかげで、カンザス州でバイオオイル注入の許可を取得できました。他の企業からもさらに購入していただけたので、バイオオイル隔離のコストをすでに 12% 削減できています。Stripe が炭素除去エコシステムのために実現してきたことにとても感激しています」

あらゆる規模の会社が最先端の炭素除去技術を支援できるようにする

Stripe を利用する大企業が最近も好調に増えています。最近では Atlassian、Instagram、Lightspeed、Maersk、Twilio、Zoom Video Communications、Salesforce などの企業と提携しました。Stripe は Fortune 500 企業にも設立して間もないスタートアップにもサービスを提供している唯一の決済プラットフォームであり、あらゆるインターネット企業がビジネスを簡単に立ち上げて拡大できる環境を作り出しています。今回、Stripe の洗練された決済ツールを使って意義ある気候変動対策も推進できるようになりました。

Stripe Climate を利用することで、FlexportSubstackFlipcauseOpenSnow などのベータ版ユーザーはわずか数クリックで最先端の炭素除去技術を支援できるようになりました。

Substack の共同創業者兼 CEO である Chris Best 氏は次のように述べています。「メディアビジネスの現状について悲観的になりがちですが、私たちはそこに大きなビジネスチャンスがあるので楽観的にとらえてよいと考えています。それが Substack を創業した理由です。気候変動についても同じだと感じます。 悲観的になるのはやめました。私たちはよりよい未来に向けた道筋を示すお手伝いをしたいと思います。さらに、Substack を利用しているすべてのライターに当社のその取り組みに加わる機会を提供できればと考えています。Stripe が行っている気候変動への取り組みはまさに天の恵みとも言えます。前向きに取り組もうとしたときに立ちはだかるすべての障壁を取り除いてくれるからです。このプログラムのおかげで、正しい行動を簡単に効果的に行えるようになります。プログラムに参加していることを誇りに思います」

Flexport.org のジェネラルマネージャー兼インパクト部門バイスプレジデントを務める Susy Schöneberg 氏は次のように述べています。「Flexport のミッションは、誰でも簡単に世界中と取引できるようにすることです。テクノロジー、インフラ、専門知識を組み合わせれば非常に高い目標を達成できるだけでなく、人道上の問題や環境問題に対する新たな解決策も得られるという確信をもって、Flexport.org は設立されました。テクノロジーとインフラを活用して気候変動対策を促進するという Stripe Climate の趣旨の影響力にも、同じ可能性を感じています。この重要な取り組みには多くの人が加わってほしいと思います」

現在、Stripe Climate はアメリカでご利用いただけます。他の国にもまもなく展開予定です。Stripe Climate の詳細と利用登録については www.stripe.com/climate をご覧ください。