Runway 社、AI クリエイティブツールで動画編集者をサポート

人工知能による画像の認識と作成の能力は急速に向上しています。この技術進歩に伴い、起業しているアーティストやエンジニアは、それを広く商業利用できるよう、パッケージ化を急いでいます。その先駆者の一社が、AI コンテンツとビデオツールのサブスクリプションのセットで、クリエイターの創作方法を変えつつあるスタートアップ企業、Runway 社です。

米国テレビ局 CBS の人気トーク番組スティーヴン・コルベアの「ザ・レイト・ショー」のビジュアル効果を担当するグラフィックデザイナーのライアン・マウスコフ氏は次のように述べています。「通常なら 5 時間かかるところを、Runway 社のツールを使用し、5 分の撮影時間で完成させたことがあります。」

Runway 社の 40 名の社員は、ニューヨークを拠点としています。3 人の創業者 (チリ出身者 2 名、ギリシャ出身者 1 名) は、ニューヨーク大学・ティッシュ芸術部で出会い、アートとテクノロジーの交差点において互いに共通する興味を見出し、2018 年に Runway 社を設立しました。同社は先日、5 億ドルの評価額で 5000 万ドルという一連の資金調達を完了したことを発表しています。

共同創業者のクリストバル・バレンズエラ (Cristobal Valenzuela) 氏は次のように述べています。「我々はアーティストの問題を理解し、彼らのためにツールを構築しています。また、さらに深掘りした研究を通じて、必要性を感じたものを発明することに尽力しています。」

Runway 社ツールのユーザーは、事業者からソロアーティスト、TikTok クリエイター、そして大ヒット映画「Everything Everywhere All at Once」の視覚効果チームまで、多岐にわたります。

より良い編集と創作のために

Runway 社のツールは、2 つのカテゴリーに分類されます。

1 つ目は、従来の編集ツールを強化したものです。同社のウェブサイトに掲載されたデモでは、ある作業台の周りで、人が込み合った状態で作業している様子が映し出されています。動画が再生されると、編集者は Runway 社の Inpaint Content Aware Fill ツールを使って対象物を削除し、あたかもその対象物がなかったかのように作業台を再現しています。

「ピクセルがあり、それを変換する必要がある場合、Runway 社のツールはビジュアル効果の適用、画像のレイヤー化、モーショントラッキングインペイントを行うことができます」とバレンズエラ氏は述べています。

2 つ目は、plain-language prompts を使用して、新規の制作物を作成するツールです。例えば、次のインタビュー動画では、テキストコマンドでバレンズエラ氏を画面に描き出しています。

実験的な動画や映画を制作しているポール・トリロ (Paul Trillo) 監督は、最近「Runway Frame Interpolation」を使って、ロサンゼルスの誰もいない道の中央分離帯にいる男性の不気味なシーンを作り出しました。まるで大作映画のような映像ですが、トリロ氏は最小限の機材を使って、一晩の撮影でこのシーンを制作しました。

「10 年前なら、発電機、グリーンスクリーン、回転台やワイヤーリグが必要だったでしょう。Runway 社のツールを使用すると、20 コマほどの一連の画像を撮影することができ、回転や上昇する動きもツールで制作できました。」とトリロ氏は語っています。

会社設立時からStripeと共に

Stripeは、Runway 社が会社として存在する以前から、同社と連携しています。創業者たちは全員米国以外の出身で、起業に必要な膨大な書類を処理するために会社設立支援プラットフォームの Stripe Atlas を使用した経緯があります。Atlas は、Runway 社がインペインティング (アートワークの修復作業) を行うのと同じように、ユーザーのわずか 10 分ほどの入力だけで、会社設立に必要な法律、税金、所有権の書類を作成、提出することができます。

バレンズエラ氏は次のように述べています。「2 年という短い米国滞在期間中に、移民が会社を設立するというのはかなり大変なことでした。Atlas を利用することで、すべてが容易に進められるということが分かり、夢が実現しました。」

Runway 社は現在、Stripe Checkout および Stripe Tax を利用し、サブスクリプションを実施しています。Runway 社の一部のツールは、フリーミアム (基本的なサービスと製品の提供は無料) で利用でき、より高度でデータ量の多い作業は Pro (作業者1人あたり月額 12 ドル) およびTeam (作業者 1 人あたり月額 28 ドル) で行うことができます。

「Stripe のおかげで、会社の設立から支払い処理システムの構築までの過程を迅速に実現できました。つまりそれが、次世代のクリエイティブツールの構築という、当社の差別化の核となる業務にフォーカスすることを可能にしたのです。」とバレンズエラ氏は述べています。