間接税コンプライアンスの概要:消費税、VAT、GST

間接税の納税義務を把握し、正しく管理・徴収・申告するために役立つ情報をご紹介します。

  1. はじめに
  2. 間接税とは
    1. 物品に対して課せられる間接税
    2. デジタル商品に対して課せられる間接税
  3. 間接税コンプライアンスを維持する方法
    1. ステップ 1:納税義務の有無を調査する
    2. ステップ 2:税を徴収するための登録を行う
    3. ステップ 3:税率と取り扱い方法を判断する
    4. ステップ 4: 税を申告して納付する
  4. Stripe のサポート

税の管理やコンプライアンスの維持は難しいものです。特に、ビジネスが拡大期にある場合はなおさらです。納税義務がある地域、徴収すべき税額、徴収した税金の取り扱いを理解しなければならない一方、このプロセスにはコストも時間もかかります。業務の負担を軽くする目的で税計算エンジンを組み込む場合には、数カ月も要するのが一般的です。

販売する商品の種類や販売地域が増えると、税金管理はさらに煩雑になります。オンラインビジネスは多様な国や州の顧客にサービスを提供していることが多いため、特に税金の処理が複雑になります。税金の未徴収、課徴金や延滞金が課せられる事態を避けるため、またコンプライアンスを維持するためにも、税法を理解することが大切です。

税率は定期的に改訂されることも忘れてはなりません。アメリカでは、2021 年だけでもおよそ 600 件の税率変更が予定されていました。ヨーロッパの多くの国では、新型コロナウイルス感染症の蔓延による経済への影響を受けて、2020 年と 2021 年で VAT 税率が変更されました。

このガイドでは、付加価値税 (VAT)、商品サービス税 (GST)、消費税などの間接税の基本事項について触れたいと思います。また、Stripe Tax がコンプライアンスの維持にどのように役立つかもご紹介します。

間接税とは

企業は自治体や政府に代わって間接税を徴収します。法規は国によって、アメリカでは州によっても大きく異なり、物品、デジタル商品、サービスに適用されます。

これらの税は、個人や組織が収入あるいは収益に応じて政府に直接支払う所得税などの直接税とは異なります。間接税は、物品やサービスの売上に対して課される税であり、企業を経由して購入者が支払います。

間接税の名称は、世界各地で異なります。間接税は、アメリカでは売上税、ヨーロッパでは付加価値税 (VAT)、オーストラリアでは物品サービス税 (GST)、日本では消費税と呼ばれています。これらの税金を徴収するプロセスは大きく異なりますが、結果は同じであり、最終顧客が税金を支払います。

大半の国では、何らかの種類の税を徴収することが企業に義務付けられています。

物品に対して課せられる間接税

物品に対して課せられる税は発送元と配送先の場所によって異なるだけではなく、各税務管轄区域がその商品をどのように分類しているかによっても変わります。自治体、州、国ごとに多くの違いがあります。

たとえば、ロサンゼルスの市街地でセーターを購入する場合、購入者は 9.5% の小売売上税を支払います。しかし同じセーターでも、近郊のロサンゼルス郡のカルバーシティーで購入する場合、10.2% の小売売上税が課せられます。

地域によるこのような違いは商品のタイプにも及びます。テキサス州では、カウボーイブーツは非課税ですが、ハイキングブーツは課税対象です。アイルランドでは、子ども用の靴は非課税ですが大人用の靴は課税対象です。

デジタル商品に対して課せられる間接税

税務管轄区域は、「デジタル商品」に対する独自の定義に基づいて法規を定めています。一般に、デジタル商品やサービスとは無形のものを指します。手に取ることはできず、多くの場合はインターネット上でダウンロードするか、アプリや Web サイトを通じてアクセスします。デジタル商品やサービスの例としては、電子書籍、オンラインコース、音楽ファイル、Web サイトのメンバーシップなどがあります。

ヨーロッパでは、次の 4 つの条件を満たすデジタル商品が課税対象です。

  • 物品ではない。
  • 商品がオンラインで提供される。
  • 人間の介在が最小限のサービス。
  • テクノロジーで構成されているか、テクノロジーによって作られた商品。

アメリカでは、デジタル商品に対する税法は州によって大きく異なります。大多数の州で、販売者はデジタル商品に対する小売売上税を徴収するよう義務付けられています (現時点)。企業は州、国、自治体ごとの違いを理解し、考慮しなければなりません。

他の国でも、独自の方法でデジタル商品に課税しています。グローバル経済においてデジタル商品は比較的新しい存在であり、それに対する法律も新しいことから、コンプライアンスの基準や国の法規は進化し続けています。企業は常に、法改正の最新情報を把握しておくことが求められます。

間接税コンプライアンスを維持する方法

顧客の所在地を問わず、企業は間接税コンプライアンスに関連する、次の事項を検討する必要があります。

  • 税金の徴収を義務付けられている場所はどこか。いつ徴収する必要があるのか。
  • 税金を徴収するための登録はどのように行うのか。
  • 製品やサービスごとに請求する必要がある税額はいくらか。
  • 徴収した税の申告と納税をどのように行うか。

ステップ 1:納税義務の有無を調査する

コンプライアンスを維持するには、まずは自身の納税義務を把握しなければなりません。一般には、顧客の所在地を問わず、事業者は税金を徴収します。企業の所在国が顧客の所在国と異なる場合でも徴収が必要です。一部の税務管轄区域では、売上のしきい値 (特定の期間にその国で得た一定の売上額または取引額) を超えた場合に限り、税の徴収が要求されます。

アメリカの場合、小売売上税のしきい値となる基準額は州ごとに異なります。主に年間収益あるいは取引件数などに基づいて決まります。EU では、税登録の基準額は国によって異なりますが、EU 以外の国を拠点とする企業が EU の顧客にデジタル商品を販売する場合、初回の取引から税を徴収しなければなりません。

ステップ 2:税を徴収するための登録を行う

顧客から税を徴収する前に、登録の基準額に達している州や国に登録します。

アメリカでの登録

登録の基準額を超えている各州に対して、小売売上税を管轄する機関の Web サイトで、登録方法の詳細を確認します。登録の基準額を超えた場合の登録期限は、州により異なります。たとえば、テキサス州の場合、テキサス州以外を拠点とする企業は登録の基準額 (アメリカではエコノミックネクサス基準額と呼ばれます) に達してから 4 カ月目の第 1 日に登録するよう定められています。ロードアイランド州では、エコノミックネクサス基準額に達した翌年の 1 月 1 日までに小売売上税の登録、徴収を行い、納税を開始します。

ヨーロッパでの登録

ヨーロッパでは、ヨーロッパ諸国での登録プロセスを簡素化するために、VAT OSS (VAT One-Stop-Shop) が導入されています。VAT OSS に登録すると、商品やサービスの販売先である EU 内の各国での登録が不要になります。EU を拠点としている場合は、自国の OSS ポータルから登録できます。EU 以外の国を拠点に EU 内で販売を行う企業も、必ず OSS に登録しなければならず、この場合は OSS に登録するヨーロッパ内の国を選択できます。 イギリスの EU 離脱以降、イギリスではヨーロッパの VAT OSS とは別の VAT 登録プロセスがあります。

ステップ 3:税率と取り扱い方法を判断する

税率は管轄区域、商品やサービスによって異なります。販売対象となるすべての商品・サービスに関してその違いを考慮する必要があります。

アメリカでの税率

アメリカには国家全体での小売売上税の制度はありません。45 の州とコロンビア特別区では、州域内で 2.9% から 7.25% の小売売上税を徴収しています。38 の州ではそれに加えて地方の小売売上税があり、一部の州では平均の税率が 5.0% を超えています。販売先の管轄区域 (自治体、国、州) が増えれば増えるほど、税管理が複雑になります。

多くの州には税管轄区域が何百もあるため、取引に適用される管轄区域の税率を特定するのは煩雑です。たとえば、企業が拠点とする州が発送元基準課税の州である場合、小売売上税は販売者が所在する地域に基づいて徴収します。一方で、配送先を課税の基準とする州では、顧客が所在する地域に基づいて小売売上税を徴収します。

事業者または買い手の所在地に基づき、消費税を徴収する必要がある州を示す画像

ヨーロッパでの税率

アメリカ国内だけでもさまざまな税率があるように、EU 内でも VAT 税率はさまざまです。ハンガリーは最も VAT 税率が高く 27% である一方、ルクセンブルクは最も低い 17% です。EU の国境を越える取引では、VAT を徴収する可能性がある国と納税義務を負う人 (企業のオーナーである自分か、顧客か) を判断する必要があります。

ヨーロッパ各国での VAT 税率の違いを示す画像

ステップ 4: 税を申告して納付する

税を申告するには、企業が登録して税を徴収した州や国を管轄している各機関に納税申告書を提出しなければなりません。アメリカの一部の州では、小売売上税は州レベルでは管轄されておらず、都市や郡レベルで申告する必要があります。申告期限は州や国によって異なり、企業の年間売上額やその他の要素に応じて変わります。納税を週単位、月単位、年単位で行うよう定められている場合もあります。登録している州で商品をまったく販売しなかった場合でも、申告を求められることがあります。

Stripe のサポート

Stripe Tax を利用することで、世界各国の税務処理に関する煩雑さが軽減されるため、企業の成長に集中できます。Stripe Tax はアメリカのすべての州と 30 カ国以上の国で物品とデジタル商品およびサービスに対して課せられる小売売上税、VAT、GST の計算と徴収を自動的に行います。Stripe Tax は Stripe にネイティブに組み込まれ、サードパーティーシステムとの連携やプラグインは不要であるため、すぐに利用を開始できます。

Stripe Tax のサポート内容

  • 税の登録と徴収が必要な場所の把握: Stripe での取引内容に基づいて税の徴収が必要な場所を確認でき、登録後は新しい州や国での税徴収をすぐに有効化できます。既存の Stripe の組み込みにコードを 1 行追加するだけで、税の徴収を開始できます。また、Invoicing など Stripe のノーコード製品には、ダッシュボード上でボタンをクリックするだけで、税の徴収を開始できます。
  • 納税の登録: 登録のための基準額を超えると、Stripe Tax は登録先の Web サイトへのリンクを表示します。
  • 税の自動徴収: Stripe Tax は販売商品や販売先の地域を問わず、常に正しい税額を計算して徴収します。数百種類の商品やサービスに対応しており、税法や税率の改正を常に監視しています。
  • 申告と納税の簡素化: Stripe は申告先の地域ごとに項目別のレポートと税金のサマリーを生成します。これにより、自分自身や契約している会計士、あるいは Stripe の申告パートナーを利用して申告と納税を簡単に行うことができます。

Stripe Tax の詳細情報とアクセスのリクエストについては、こちらをご参照 ください。

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